吾輩のブログ。名前はまだ無い。

田舎暮らしのアラフォーが送るただの日常

女性に恋をした女の話(第一話)

30歳くらいのとき、同性に本気で恋をしたことがある。

今回はその話をしようと思う。

男性に恋愛感情を抱けなかった幼少期

私はいちおう、女性として生まれてきた。

ごく普通に幼稚園に通い、小学校へと進学した。

小学校も3年生か4年生になると、友達との間でいわゆる恋バナが出てくるようになる。

「好きな人いる?」

「○○くん、カッコイイよね」

というようなお決まりの話題だ。

しかし、私はその話にまったくついていけない。

「好きってなんだ?男子を好きってことなのか?わからん…わけがわからん…」

同じクラスには仲のいい男子もいたわけだが、私は彼らのことは友達としか思っておらず、好きだとかカッコイイだとか思ったことはなかったのだ。

そんなある日、東京から一人の女の子が転校生としてやってくることになった。

「ねえ、今日から転校生が来るんだって」

「どんな子なのかな?」

クラスでは、今日からやってくる転校生の話題でもちきりだった。

と、ガラッと教室の扉が開き、担任に連れられて転校生の女の子が入ってきた。

その瞬間、私の目はその子に釘付けになった。

「か、かわいい…」

「初めまして、東京の学校から来ました田中ゆみこ(仮名)です」

私の初恋と一目惚れは、転校生のゆみこちゃんだった。

と同時に、

「ああ、これがみんなの言う好きって感情なのか…」

かねてから謎に思っていた「好き」という感情に対しても、すっと腑に落ちたのも覚えている。

それから小学校卒業までゆみこちゃんには片思いしていたわけだが、忙しい中学生活を送る中、いつの間にかその気持ちもどこかへ消えていた。

いちおう男性と付き合ったこともある

ゆみこちゃんに一目惚れして以降、中高校生の頃も専門学生の頃も、好きになる子はほぼ女子だった。

向こうから好きだとかなんだとか言ってくれる男子もいなくもなかったが、こんな私を好きだとかいうなんて。

冗談も程々にしろと思い、

「またまたぁ笑」

みたいな感じ適当にあしらってしまっていた。

今から思うととても申し訳ない。

向こうは真剣に思いを伝えてくれていたのかもしれないのに。

ちなみに社会人のころ、非常に真剣に思いを伝えてくれた男性とお付き合いしたことがある。

彼のことは人として好きだったし、尊敬していたので

「嫌いじゃなければ付き合ってみるか」 

くらいの軽い気持ちだったと思う。

そこにはかつて「ゆみこちゃん」に抱いた、ドキドキするような恋心はまったくなかった。

彼のほうはというと、私に対して恋心を抱いてくれているのは痛いほどに伝わってきた。

それが、地味につらくもあった。

私が彼に恋心を抱けなかったことだけが原因だとは思わないけれど、次第に彼とはうまくいかなくなっていった。

結局、交際2年目に入ってしばらくした頃に彼とは別れた。

余談だが、別れた途端に悩んでいた肩こりが一気に治ったので、彼との交際はけっこう無理をしていたのだと思う。

そこから、誰かと付き合いたいとか一緒にいたいとかいう気持ちが、私の中から殆どなくなっていった。

当時のわたしは意識していなかったが、あえて自分の中から恋愛感情とか恋心とか、そういったものを消し去ろうとしていたのかもしれない。

アラサー女、アラサー女性と出会う

彼と別れてから数年経った頃、ひとりの女性と出会った。

気づけば私は28歳になっていた。

仕事関係で知り合ったその女性は、私より少し年下で26歳だった。

最初は仕事の話を色々と交わしているだけだったのだが、次第にプライベートなことも話すようになり、意気投合。

気づけば、ちょくちょく飲みに行ったり遊びに行ったりするような仲になっていた。

分かりやすくするため、以後は仮名A子としよう。

A子と一緒に過ごす時間が増えるにつれ、私の中で彼女の存在が特別なものになっている自覚があった。

しばらく消し去ろうとしていた「恋心」が再び芽生えようとしているのを、私の心の奥底で感じとっていた。

(第二話に続く)