アラサー女がアラサー女性のA子に恋をした話。
第三話になります。
久々に会ったA子は服装も雰囲気もガラッと変わり、モヤモヤとした気持ちを抱えつつもショッピングモールでの買い物を楽しみ、休憩にカフェに入ることに。
なぜ女の子らしい服装を?
カフェでA子とふたり、他愛ない会話をしてまったりと過ごすも、心はどこか落ち着かない。
思い切ってA子に聞いてみた。
「ねえ、今日女の子らしくてすごくかわいいね。雰囲気もいつもと違うし、どうしちゃったの?なんかあった?笑」
つとめて明るく冗談交じりに聞いてみたものの、A子からの回答を待つ間ドキドキが止まらなかった。
彼氏が出来たと打ち明けられたらどうしよう…。
すると、A子はモジモジしつつ口を開いた。
「…えっと、だってふたりで会うの久しぶりだし。前に貴女が女の子らしい服装が好きみたいなこと言ってたから…」
ん?それってどういう…。
疑問に思い、ズバリ聞いてみた。
「彼氏が出来たわけではないの?」
「何言ってんの。出来るわけないでしょ。今日だって久々に会えるからって、貴女好みの服装にしてきたのにさ。そういうこと聞くんだ」
A子は少しムッとしながらも、続けた。
「…あのさ。ここしばらく会えないときもずっと貴女のことを考えてて…。何してるのかなとか、勉強頑張ってるのかな、とか。会いたくて仕方なかったの。ごめんね。こんなこと言って。気持ち悪いよね…」
A子も同じ気持ちだった?
週末のショッピングモールは人通りも多く、ガヤガヤと落ち着かなかった。
私たちが入ったモールのカフェも、家族連れやカップルや友達同士の会話で溢れかえっていた。
A子から突然告白(?)をされた私の脳みそは、パニックを起こし、さらにそれを助長させるかのようなカフェの喧騒によって思考がままならなくなっていた。
A子はいったい何を言っているんだ。
それって私のことが好きってことなのか?
会えないとき、A子も私と同じ気持ちだったってこと?
「気持ち悪いよね…」って。
つまりそういうことなのか?
ふと、カフェ内の喧騒がひときわ大きくなっていたのに気づいた。
午後3時過ぎ、モール内のお客も買い物に疲れてきて休憩場所を求める時間帯だ。
店に入れず、順番待ちをしている人も店外の椅子に5~6名座っているのが見える。
はからずも話を切り上げるきっかけが出来たため
「混んできたから、出ようか」
とA子に言い、ふたりでカフェをあとにした。
ドライブへ行くことに
そのあとは気まずい無言が続いた。
どの店を見るではなく、ウロウロとモール内を歩き回るA子と私。
いたたまれなくなり、A子に提案をした。
「ねえ、時間が大丈夫ならさ。ドライブでもいかない?」
A子も助け舟を求めていたのだろうか、
「うん、行こう」
と間髪をいれずに返事が。
2人とも自分の車で来ていたので、ひとまずA子の車はモールの駐車場に置かせてもらい、私の車でドライブへ行くことにした。
ドライブと言っても、もちろん当てなど決まってはいない。
近くに見晴らしの良い公園があるのを思い出し、とりあえずそこに行こうかと車を走らせた。
向かう道中も会話はほとんど弾まない。
疲れたねー。とか、色々見れてよかったねー。
などという他愛もない話をして、公園までの約10分間を運転した。
その間、2人とも心の奥にある核心には触れないようにしていた。
(第四話へつづく)