同性に恋をした女の話、第二話。
社会人になって出会った、A子についての話の続きをしよう。
気づけばA子のことばかり考えるように
A子と会う頻度が増えるにつれ、私はA子のことばかりを考えるようになっていた。
これA子が好きそうなお菓子だな。
今度一緒に食べようかな。
ここ、A子と一緒に行きたいな。
それは、しばらく封印していた「恋心」そのものだった。
また人を好きになってしまった。
しかも女の子。
付き合ったとて、先が見えない。
女性の幸せは結婚や出産が全てでは無いとはいえ、これ以上好きになっても、仮に付き合ったとしても、相手も自分も苦しいだけの気がする。
気づくと涙が止まらなかった。
しかし、感傷に浸っているのは私だけで、A子にとっての私はただの友達に過ぎないはず。
次第にA子との友達関係について、悩むようになっていた。
A子と距離を置くように
悩んだ末、私はA子と会う頻度を減らすようにした。
会いたくないわけではない。
もちろん会いたいのだが、会うたびに苦しくなるのは分かっていた。
仕事が忙しいだの、資格試験の勉強をしなくてはならないだの、色んな言い訳をして極力会うのを避けていた。
幸いと言っていいのか分からないが、A子の方も仕事で県外出張に行くようになり、自然とふたりで会う機会は減っていった。
しかし、会っていないときも考えるのはA子のことばかり。
いずれにしても、つらい。
取得しようとしていた国家資格の勉強にも身が入らず、その年の試験は落とした。
A子と久々に会ったときのこと
それでも仲が悪くなった訳では無い。
会えない時もお互いメールのやり取りはしていた。
「私の試験が終わったら会おう」
と約束していたので、約2ヶ月ぶりにA子と会った。
とあるショッピングモールでいつものように遊ぶ約束をしていたのだが、A子にしては珍しく遅刻をした。
何かあったのかと心配をしていたのだが、現れたA子を見て驚いた。
いつもA子はボーイッシュでカジュアルめな服装なのだが、その日のA子は珍しくスカートを履き、髪の毛も巻き髪にしていた。
こんなに女の子らしいA子を見るのは初めてだったので面食らっていると、
「ごめんね、待たせて。普段こういう格好しないから慣れてなくて…どうかな?似合う?」
と、顔を赤らめながら聞いてきた。
うん、すごく似合うよ。かわいい。
と答えたものの、正直なところ似合う、似合わないはどうでもよかった。
どうしたんだ、そんな格好をして。
しばらく会っていなかったから、服装の趣味が変わったのだろうか。
それとも、彼氏でもできたのだろうか…。
心の中はモヤモヤでいっぱいだった。
モヤモヤしつつも買い物を楽しみ、歩き回って疲れたのでお茶でもしようかとモール内にあるカフェで休憩することにした。
(第三話につづく)